生成AIを活用した社内向けチャットボット基盤を構築― 社内情報検索の効率化と生産性向上を実現 ―
ファーストトレード株式会社(本社:福井県あわら市、代表:三上良平)は、2026年1月5日より社内運用を開始しました。
本基盤は、社内規定・業務マニュアル・FAQ・技術資料などの社内ドキュメントを横断的に検索可能とし、自然言語による質問に対して文脈を考慮した回答を提示する仕組みです。
また、複数の部署や自社サービスでの利用を前提としたマルチテナント構成を採用し、共通基盤としての運用を可能としています。
背景と課題
当社では、社内業務において多数のドキュメントを活用していますが、以下のような課題がありました。
・社内情報が部署・サービスごとに分散している
・必要な情報の所在が分かりづらい
・情報検索に時間を要する
・同一内容の問い合わせが繰り返し発生する
また、既存の外部チャットボットサービスの導入も検討しましたが、複数のサービスや組織を横断して利用できるマルチテナント構成に対応しておらず、部分最適な導入にとどまる懸念がありました。
これらの課題を踏まえ、当社の事業構造に適した形で活用できる社内向けチャットボット基盤を内製する判断に至りました。
取り組みの特長
①社内情報へのアクセス性向上
従来は、情報の所在を探すこと自体に時間を要していましたが、本基盤では情報の保存場所を意識することなく、自然な質問によって必要な情報へアクセスできるようになりました。
キーワード検索に依存せず、質問の文脈を理解した回答が得られる点も特長です。
②共通基盤による一元管理と柔軟な運用
複数の部署・サービスで利用するチャットボットを、一つの共通基盤・一つの管理画面で一元管理できる構成としました。
Bot設定、ドキュメント管理、動作確認などをまとめて行うことができ、運用の属人化を防ぎながら、管理・保守負荷の軽減を実現しています。
また、新たなサービスや用途が追加された場合でも、既存基盤を活用した柔軟な展開が可能です。
③コスト効率を考慮した設計
ドキュメント検索基盤には Amazon S3 Vectorsを採用しました。
専用のベクトルデータベースを常時稼働させる構成と比べ、固定費を抑えつつ、利用量に応じた従量課金での運用を可能としています。
これにより、社内DX用途においても無駄なコストを抑えた運用を実現しました。
④セキュリティを考慮した設計
当社は ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証を取得しており、本基盤においても同方針に基づいた設計・運用を行っています。
- サービスごとにIssuer/AudienceをLambda Authorizerで検証
- マルチテナント構成におけるテナントおよびBot単位でのデータ分離
- APIリクエストおよび操作履歴のログ記録
- AWSマネージドサービスによるインフラレイヤーのセキュリティ対策および可用性確保
社内利用を前提としながらも、将来的な社外提供を見据えたセキュリティ水準を確保しています。
採用技術とシステム構成
本チャットボット基盤は、拡張性・運用効率・セキュリティ要件への適合を重視し、サーバーレス構成を中心に設計しました。
バックエンド:Python / AWS Lambda / API Gateway / Serverless Framework
生成AI基盤:Amazon Bedrock
ドキュメント検索:Amazon S3 Vectors
ログ管理:Amazon DynamoDB
認証・アクセス制御:Amazon Cognito(User Pool)/ JWT認証
ログ・監査:APIログおよび操作履歴の記録
導入効果
本チャットボット基盤の導入により、社内からの問い合わせ対応件数の削減および、情報検索にかかる時間の短縮を実現しました。
社員が必要な情報を自ら即座に確認できる環境を整備したことで、業務の停滞や確認作業による手戻りが減少し、日常業務の効率化につながっています。
また、新入社員や異動者にとっても、社内ルールや業務手順を自律的に確認できる仕組みとして機能しており、早期の業務立ち上がりを支援しています。
特定の担当者に知識が集中する状況を改善することで、業務の属人化防止にも寄与しています。
これにより、社員が本来注力すべき業務に集中できる環境づくりを実現しました。
今後の展望
今後は、社内での運用を通じて得られた知見をもとに、本チャットボット基盤のさらなる活用と機能拡張を進めていく予定です。
現在当社が展開している複数の自社サービスへの本格展開を視野に入れ、共通基盤としての利便性を高めていきます。
また、ChatworkやLINEなどの外部チャットツールとの連携や、自然言語による指示で申請書類の作成から承認までを支援するAI支援型ワークフロー機能の実現についても検討しています。
加えて、教育・ナレッジ共有ツールとしての活用や、利用状況の可視化・分析機能の強化を進めることで、より実用性の高い基盤へと発展させていく方針です。
将来的には、社内利用にとどまらず、社外向けサービスとしての提供可能性についても検討を進めていきます。